今週の一面『 戦時語の遺物 』8/17

Shin1

◆東日本大震災以降、日本中に「がんばれ日本!」の大合唱が起こっている。東京オリンピックに向け、さらにこの大合唱は強くなっていくことであろう。同時に、日本の右翼化が進み、戦争のできる国へと歩み出していることも連動している。

◆元東京大学総長矢内原忠雄氏が「世界の大勢を論ず」という講演会で次のように語っている。
 「戦後人の多く使う言葉で私の好まないものとしては『頑張り』ということである。これは戦時語の遺物であるだけでなく、意味から言って信仰上おもしろくない語である。頑は頑固であり、張りは自己主張であって、頑固に私意を張ることが頑張りである。しかるに、キリストを信ずる者の性格はおよそこれとは反対に柔和と従順を特質とする。
 キリストを信ずる者の精神力は、頑張りとは正反対であって、柔和なたましいが、神の助けに依り頼むところに注がれる神の能力である。少なくとも私に向かって、『先生はよく頑張る』とか『頑張って下さい』などと言うことは止めてもらいたい。そのような言葉は私を不愉快にする。

◆文部科学相の詰問機関、中央教育審議会が協議してきた「道徳の教科」への格上げの答申を受けて政府は「道徳教育」の強化をしようとしている。「道徳教育」こそまさに、戦時語の遺物である。しっかり霊の目を開けて祈ることが求められる。

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