〜オリーブの香り〜No139『珠玉の言葉』

Shin1

宮城谷昌光は「孟嘗君」という作品の中で、孟嘗君(田文)の育ての親とでも言うべき大商人で社会事業家の「白圭」の臨終の場面で、次のように書いている。
「文どの、人生はたやすいな」
「そうでしょうか」
「そうよ・・・・。人を助ければ、自分が助かる。それだけのことだ。わしは文どのを助けたおかげで、こういう生きかたができた。礼をいわねばなりません」
「文こそ、父上に、その数十倍も礼を申さねばなりません」
「いや、そうではない。助けてくれた人に礼をいうより、助けてあげた人に礼をいうものだ・・・・・」(宮城谷昌光『孟嘗君5』講談社文庫P292)

年の初めに心うたれた言葉である。隣人愛の精神とは、このことではないのかと気づいた。しかし、こういう生き方をしたいと願うが殆ど難しいと思う。
人間はわがままで、自己中心的である。そして何より弱い。けれど、自分で自分を何度も裏切りつつ、世俗にまみれ、妥協と小賢しい知恵の中で汲々として生きていても、心の中には、こうありたいという願いを持ち続けていきたい。
神は、そのような人間の弱さを十分にわかりつつこういってくださる。
「あなたがたには、世に苦難がある。しかし、勇気をだしなさい。わたしは既に世に勝っている。」
By とうちゃん

過去の記事