~オリーブの香り~No156 『あなたを「大切」にしたい』

Shin1

実は、とうちゃんは詩を読むのが好きです。
5月になると必ず思い出す詩。室生犀星「五月」。

悲しめるもののために
みどりかがやく
くるしみ生きむとするもののために
ああ みどりは輝く

この詩に感激して、ついには5月生まれでもないのに、長女の名前を「みどり」と名付けました。長女がその名前の由来のように生きているかはどうかはわかりませんが、人の悲しみがわかり、一緒に悲しんだり、泣いたり、その上で励ましを与えられる人に育ってほしいという願いからそうしたのです。

「ケア(Care)」とは、今では福祉の世界で普通に使われる用語ですが、語源をたどると原義は「悲しみを共にする」という意味のようです。実は、福祉の基本もここにあります。その人に寄り添い支援するとは、その人の目に見えないかもしれない涙を見つめながら、共感し、お互いの存在を大切にしていくことから始まるのです。震災にあった人の心の癒しのプロセスで語られる3つの「T」とは、「Tear(涙)、Talk(語る)、Time(時)」といわれます。

そうしたことを思うと、悲しみや苦労を共にして初めて、喜びを共にできるのかもしれません。ローマの信徒への手紙12章は、そのような文脈の中で読み解きたいと思います。
風もさわやか、そんな季節だからこそ、語り合い、涙を流し、励まし合い、そして共に喜ぶそんな関係を大切にしていきたいと思います。「大切」とは、大きく切った方を相手に差し出すのだとある牧師先生が教えてくれました。あなたを「大切」にしたいそんな季節でありますように。

By とうちゃん

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