今週の一面 『 リースト・コインの交わり 』 6/7

Shin1

◆インドにシャンテ・ソロモンという女性がいます。ある時、彼女はクリスチャン女性の小さな国際会議に出席するため香港を訪れました。彼女にとって香港は、インドに比べてとても豊かに見えました。会議の間の見学で彼女は香港の郊外に出かけました。そこには、中国から陸伝いに避難して来た人たちが住む難民キャンプがありました。そしてそこには、狭い部屋に家族がひしめいており、もう再び自分の国に帰れない、そして家もすべての生活基盤も失った人々がいたのです。シャンテは胸が痛くなり、大きなショックを受けました。

◆彼女は、インドが地上で一番貧しい国と思っていましたが、しかし、そうは言っても皆自分の国に住み、自分の生活基盤の中にいる。しかし、この難民はそうではありません。異国の地で誰からも歓迎されるのでもなく、ただ貧しさの中で困窮に喘いでいるのです。シャンテは「こんな悲惨なことがこの世にあったのだ」ということを知り、インドに帰ると、教会の女性たちにそのことを話しました。

◆「どんなに貧しいインドの女性であっても、一月に一度、アジアの他の国の困難な人々のために祈り、祈りのしるしにインドの一番小さなコイン一つを献げる事ならできるのではないか」。その考えに貧しいインドの教会の女性たちも大賛成をし、更にシャンテが出会った他の国の教会の女性たちの感動をも呼び起こし、そこから「リースト・コインの交わり」という運動が生まれたのです。

◆これはどんなに貧しくても、他者を思い、主に向かって心を開いて、他者のために献げることができるという証です。それはインドの貧しいやもめの祈りから発せられたのです。

松﨑 準

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