〜オリーブの香り〜No163 『 神の家族 』

Shin1

『あなたがたは、もはや外国人でも寄留者でもなく、聖なる民に属する者、神の家族であり』(エフェソの信徒への手紙2章19節)

私の勤め先は、横浜の地域の中でも、とりわけクリスチャンが多く在住するところで、またミッション系の学校も近隣に多く、修道院や教会からの注文も連日あります。

クリスマスシーズンはもちろん、イースターが近づくと、お店のディスプレーもそうした配慮を施し、仕事をしながらレジに神様が並んで下さってる気分になりますし、数年ここで仕事をしていると、雰囲気というか、教会で聖書の学びをされた帰りにお店に立ち寄って下さるお客様が 分かるようにもなりました。
カミングアウトはしていませんが、同じパート仲間の数人はクリスチャンだと思います。

ある時私は、この職場で厳しい現実を背負っている高校生の子供達の存在を知りました。
一人は男子・・・もう一人は女子のアルバイトの子達です。
高校生がアルバイトをするというのは、世間一般ではお小遣い稼ぎと思うでしょう。
バイト代が入ったら、新しい携帯を買ってみたり、洋服を買ってオシャレしたり・・・そんなことを想像するでしょう・・・

何も知らなかった私は、ある時彼らに尋ねます。
アルバイト代入ったら、何に使うの?
すると、二人とも同じ答え
「貯金します」
凄い !しっかりしているね、今時の高校生とは思えないわと返すと、黙ってニッコリします。
挨拶もきちんとしてるし、仕事中に無駄口を言わないし、まじめに一生懸命働きます。
躾が行き届いていて、どんなご両親に育てられたんだろう?と思わせるほど、本当によく出来た子供達です。
彼らがそれぞれ進路の準備をする時期に、また私は聞きました。
これから受験勉強大変ね、
すると
「大学には進みません・・・就職します」
あらぁ、ここに就職したらいいのに・・・みんな助かるわ!と言うと、またニッコリ笑うだけ・・・。

そして、就職先が決まると菓子折を持って挨拶に来ました。
短い間でしたが、大変お世話になりました 。就職しても時間があるときは、買い物に寄ります。
皆さん、色々と教えて下さってありがとうございました・・・

どんなときでも笑顔を絶やさない彼らの存在が、私の心のどこかに棲み着くのです。

ある時、職場の上司と話しをしていると、彼らのことが話題になりました。
私を含めその場に3人いたのですが、おそらく上司の方がクリスチャンのパートさんという意識で話されたのかもしれませんが・・・

高校生の彼らは、様々な事情で産みの親とは暮らしてきていません。
生まれた時から両親と離ればなれだったり、ある日を堺に預けられたり、高校を卒業するまで、お世話に預かる養護施設で成長します。
そして 高校を卒業すると、その施設を出て自活しなければなりません。
自活するためのお金を80万円くらい貯めて、アパートを借りたり、寮生活を始めたりするそうです。
全て自分たちの力で働いて、必死に貯金するのだそうです。

彼らの過ごしてきた養護施設は、横浜のキリスト教の歴史に中で生まれたカトリック系の施設です。
シスター達が彼らのお母さんです。
朝の祈りから始まり、生まれたての赤ちゃんから高校生まで、食卓を共にして成長してきた子ども達です。
戦後間もない頃は、同じ宿命を背負った子供達がかなり数多くいたと知りました。
成長過程の中で、クリスチャン家庭に養子として迎えられる子もいれば、卒業するまで施設で育 ち、そこを出て自立していかなければならい子といたわけで・・・
私の職場にアルバイトで来ていた高校生は後者です。
この施設とお店は長い時を経て、注文をいつもしてくださるお得意さんの関係になり、施設の中で高校生になった子供達は仕事先として、職場に送られてくることを知らされました。

いつだったか、シフトが同じ時間の時、更衣室で交わした言葉が忘れられません。
今は部活に入れませんが、大人になったら好きな事いっぱいしたいです!
歯並びの良い真っ白な歯を見せて、はっきりとした口調で宣言していました。

神の家族に引き取られ、主の元で成長した彼ら・・・
弱い存在の子供たちを、神様がとてもとても 強く大きくして下さったんですね。

今頃どうしてるかなぁ?
きっと、神様と一緒に好きな事何かを見つけて、一生懸命仕事してるよね!

ハレルヤ!

by MxM

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