今週の一面 『「~種をまく人~』 8/7

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「種まく人」は、19世紀フランスの画家ミレーによる1850年の作品で、岩波書店のシンボルマークとしても有名です。農家の生まれであるミレーは、幼い頃見た父の働く様子を思い出しながらこの「種まく人」を描いたと言われています。

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イエス様は人々に教えを説く際、難しくて分かりにくい難解な教義ではなく、日常の身近な事物や出来事を題材とした「たとえ話」を用いています。「種をまく人」はイエス様、「種」はイエス様の言葉・教え、種がまかれる「土地」はイエス様の教えを聞く者の心の態度を表しています。
この農夫の姿には躍動感がみなぎっています。大股で大地を歩く姿、右の手のひらに種を一杯握りしめて種を蒔く姿はダイナミックで農夫ミレー自身を描いているようでもあります。彼は聖書に親しみながら種をまくたとえをよく知っていたことでしょう。
 この絵の農夫の姿には、貧困であろうが、種が鳥についばまれようが、日照りで不作になろうが、種に希望を託している農夫の意気込みが伝わってきます。ミレーはおそらく自らが大地に蒔かれた種であり、人に踏まれても、鳥が襲ってきても、雑草に覆いかぶせられても、生き続ける逞しさをキャンバスに叩き付けていたように思います。
 多くの教会が伝道(種まき)に行き詰まりを覚えている現代にあって、ミレーの「種をまく人」のようなダイナミックさが必要かもしれません。    

松﨑 準

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