~オリーブの香り~ No 238『ふるさとにて』

Shin1

昨年の大晦日 故郷に戻って 二人の母と過ごした。昼間 弟の運転で母の生まれた村にある肉屋へ正月用の買い出しに行った。記憶も意欲も薄れてきた母との外出は久々。
車窓の景色に見入っているとカーラジオから賛美歌が流れてきた。「アメイジング・グレイス」。解説する人が「グレイス」とは、と語り始めた。母と姉がクリスチャンというこの人は「グレイス」を「恩寵」と訳した。「音調」じゃありませんよと念を押しながら。昨年のクリスマスイブでは「恩寵」を「驚くばかりの恵み」と歌った。
教会に通い始めた頃、この曲の作者ジョン・ニュートンが奴隷船の船長だった過去を持つと知った。大嵐の中、奇跡的に命が助けられた時、神様の恵みの大きさに目が開かれ、奴隷廃止運動のために働くものに変えられたという。そうと知って歌詞を読み返すと一言ひとことが迫ってくるように感じられる。

驚くばかりの  恵みなりき
この身の汚れを  知れる我に

恵みは我が身の  恐れを消し
任(まか)する心を  起こさせたり

危険をも罠(わな)をも  避(さ)け得(え)たるは
恵みの御業と  言う他なし

 夜、姑を訪ねた。うちの娘家族も来ていて久しぶりに孫とも会えた。「クリスマスの劇でね、天使になったとよ。ガブリエルっていうと。」と手を上げてセリフを言ってみせる。えっ、ガブリエル!? 55年前、お菓子欲しさに通った教会で一度だけ出た劇、私も天使ガブリエルだった。故郷に立つ同じ教会の、同じステージで! 驚くばかりの「恵み」が、こんなところにも。 
 いくつになってもバタバタと落ち着かず自分中心で人目ばかりが気になる私を神様は教会に招いてくださり、祈ることを教えられた。聖書を通して本当の愛に触れさせてくださった。
 「あなたがたは恵みにより・・・・・ 救われました。
  このことは自らの力によるのではなく、神の賜物です。
  行いによるのではありません。」(エフェソの信徒への手紙2:8~9)   

by おたね 

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