~オリーブの香り~ No 253『ハナミズキ』

Shin1

4月の終わりくらいから相鉄・南万騎が原駅前の道路の両側に、色とりどりのハナミズキが咲き始める。街路樹にハナミズキが植えられるのは珍しいのだとか。
 今までは初夏らしい爽やかな花木だなあと眺めるだけだったが、急に身近になる出来事があった。
わが子のようにして一緒に12年間共に暮らしてきた飼い猫が急死した。
亡くなった日の記念の植物花がハナミズキということで、アメリカの日本語教会に赴任される牧師ご夫妻から苗木をいただいた。この花は日本語教会のあるノースカロライナの州花でもあるとのこと。ペットの死という小さな哀しみ、しかし家族である私たちには大きな悲しみに目を留めて、慰めを与えられる神様のみ手がそこにあった。
 苗木に添えられたカードに、こんな言い伝えが書かれていた。
「昔、ハナミズキの木は、今よりももっと太くしっかりしていたため、イエス・キリストの十字架に使われました。ハナミズキの木はそのことをとても深く悲しみ、それを可哀想に思ったキリストは、もう二度とハナミズキから十字架が作られないようにハナミズキを曲がった細い木にしてあげようと約束しました。しばらくしてキリストがはりつけにされ、後にハナミズキの木はキリストが言っていた通りに幹は曲がり、花は十字架の形になりました。花びらの緑は、釘の錆と血痕で茶色と赤に染まりました。花の中心はキリストがかぶせられた茨の冠のようになって、人々にキリストの惨劇を思い出させてくれるようになったと言われています。・・・」
 夫は、遺骨のそばにおかれたハナミズキを無言の内に眺め、涙を流す代わりに、「花が3つ咲いた」と言う。もういないという喪失感は埋めようがないが、花を見ている内に、12年間ありがとうという気持ちが強くなってくる。これも神様の慰めと励ましの業かと。
いつまでも身近に置いて眺めていたい想いに区切りをつけて苗木を庭に移した。今朝もほんのり赤く染まった十字架形の花が3つ、5月の陽射しを受けて咲いている。

「主よ、あなたの恵みは天にあり、あなたの真実は雲にまで及びます。」詩編36:6

By おたね

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