~オリーブの香り~ No 261『放課後の小学校で』

Shin1

時折、港から船の汽笛が聞こえる高台の小学校。放課後になるとキッズクラブの部屋は帰って来る子どもたちで満杯になる。
「外遊びの時間だよ」の声で一斉に駆けだして校庭へ。日本、中国、フィリピン、アメリカ、スリランカ・・・いろんな国で育った親を持つ小学生たちが、広々とした校庭を子犬のようにじゃれ合いながら駆けまわる。入学したばかりの子と上級生がまぜこぜで「ドロ警」と呼ぶ鬼ごっこに興じる。
支援員として通い出して12年、ここの子どもたちの姿に惹かれ続けている。
このところ室内で目立つ将棋盤に向かう姿、クリーニング屋のおじいちゃんが開いた将棋教室に通う中国の子どもが先生役で、駒の並べ方から丁寧に教えている。
「ひふみん」の愛称をもつ老将棋名人が、後輩の活躍を喜ぶコメントがニュースで流れた折、「ひふみんこと加藤一二三さんは敬虔なクリスチャンで、何かあると一日中礼拝堂にこもって祈っていたんだって」と語る人がいた。放課後に集まる子どもたちの中には、祭壇に供えた食べ物だけを口にし、動物の脂は絶対食べない子もいる。それぞれの家庭で大事にしている信仰のこと、母国のことをはっきりと伝える子も多い。

「多文化共生」、確かに大変である。このキッズクラブでももちろんもめ事はある。
しかし、真昼のキッズルームで両足にハンディを抱えている男の子と普段は頑固でとっつきにくい男の子が、一緒になってマンガ描きに熱中している。生まれつきの足のハンディのため、何かあってはいけないと、大人のスタッフとの関わりを中心に過ごしていたこの子を仲間として迎える子どもが現れる。

改めて、神様はこのように人を創造されたのだと教えられる。愚かな大人は、この子ども達の姿をみて、己を振り返らねばならぬ。

「そこで、イエスは一人の子供を呼び寄せ、彼らの中に立たせて、言われた。「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。
自分を低くして、この子供のようになる人が、天の国でいちばん偉いのだ。」
(マタイによる福音書18章3-4節)

By おたね

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