父が何度か言っていた、「チャップリンの映画を観なさい、チャップリンは喜劇王と言われたが、あの人の映画はただの喜劇ではない 思想がある。」私はこの言葉を時々思い出すだけだった。
先日ひょんな事からチャップリンの自伝を読んだ、そして映画を観ると決めた。チャップリンが監督、制作、主演した「独裁者」を借りた。ファシズムに立ち向かったこの映画は製作中から脅しの手紙が舞い込んだと云う。
この紙面ではこの映画のラストシーンでチャップリン自身の6分間のスピーチ(歴史上もっとも感動的と言われている)を抜粋して紹介したい。
『私たちは皆、助け合いたいのだ。人間はそういうものなんだ。ユダヤ人もユダヤ人以外も黒人も白人も私たちは他人の不幸ではなく、おたがいの幸福と寄り添って生きたいのだ。ー中略ー 賢さよりも優しさや思いやりが必要なのだ。そういう感情なしには世の中は暴力で満ち、全てが失われてしまう。私の声が聞こえる人に云う。絶望してはいけない!(ルカの福音書17章に『神の国は人間の中にある』)と書かれている。一人の人間ではなく、一部の人間でもなく、全ての人間の中なのだ。君たちなんだ。世界を自由にするために、国境のバリアを失くすために、憎しみと耐えきれない苦しみと貪欲を失くすために一緒に闘おう』
映画を観終わり75年前のチャップリンのスピーチが私の心に響きました。こんな今の時代にいるからでしょうか、父からの宿題がやっと終わりました。
by ゆっこ