後は任せた!

管理人

◆「俺、もう駄目みたいだな」
「何言ってるの。もし、本当に駄目だと思うなら、葬儀はどうするか、後のことはどうするのか遺言しておいてください。」
「葬儀は、教会でやってもらえ。墓は、教会の納骨堂に入れてもらえ。後は任せた。」

◆「朝、病院から電話があって、余り良くないみたいだから今日病院に来て欲しいんだけど。」義姉からの電話が昼頃入った。
妻と待ち合わせて病院に着いたのは、4時を少し回っていた。
クリーンルームの義兄を見舞った。
酸素マスク越しの声ははっきりと聞こえない。
本人もマスクが邪魔らしかった。
みんな、順番に短く話して病室の外に出た。
外見からはそんな風に見えなかったので、余り良くないということが信じられなかった。
病魔は、短い時間に義兄を襲っていたようである。
義姉は、こんな話が昨日あったのよと先のことを話した。
冗談のように思えた。
病院から泊まりの用意をするように言われ、姪と一緒に車で家に向かった。
暫く走ると携帯電話が鳴った。
妻の声は聞き取れないくらい興奮していた。
「心臓が止まった。すぐ戻って。」7時12分だった。
車の向きを変えた。
急いで走っているのに、なかなか病院に着かない。
「まだか」という電話が何度も入った。
急いで病室に戻り姪は医師の元で死亡を確認した。
2005年7月1日午後7時47分だった。

◆義兄は、この世での64年と7ヶ月27日の命を終え天に召されていきました。
決して長く生きたとは言えないかもしれません。
しかし、この世での自分の死をしっかりと見据えて、残されたものが悩むことのないように、不安に陥らないように、葬儀、埋葬に関して自分の言葉ではっきり言い残しています。
不安をなくした後で、残された者に後を委ねました。
十字架上でのイエス様も残された者に、この世で生きていく不安をなくす言葉を掛けられました。
自分が死に直面した時、残された者に不安を取り除く言葉を掛けられるであろうかと思わされました。

(伊東昌彦)

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