待ち望むということ (3)

Shin1

◆恐れにとりつかれた人々は、待つことに耐えられません。彼らは、いま置かれているところから逃げ出したいと思っています。しかし、いざそこから容易に逃げられないとなると、今度はそれに戦いを挑むようになります。私たちの行なう破壊的活動の多くは、悪いことが起こるかもしれないという恐れが、その根底にあると言えるでしょう。

◆恐怖の世界に生きている人は、それほどでない人に比べ攻撃的で、敵対心をもちやすく、破壊的行動で応じやすい傾向があります。私たちのもつ恐れが強ければ強いほど、待つことは難しくなります。

◆それにひきかえ、ルカの福音書の最初のページ(クリスマス物語)をひもといたとき、そこに登場するすべての人々の姿が待つことにあることを見て、深く心を打たれます。ザカリアとエリザベトは待っています。マリアも待っています。幼子イエスが連れてこられたとき宮にいたシメオンとアンナも待っています。イエスの誕生という素晴らしい出来事の開幕を告げる第一章全体は、待ち望む人々でいっぱいです。

◆そして、まさにその最初に、これらすべての人は何らかの仕方で「恐れることはない。あなたに、よき知らせを伝える」という言葉を耳にしています。クリスマスのメッセージは、恐れから解放されるというよき出来事が、神を待ち望んでいた信仰深い民の末裔である私たちの身の上にも起こることを約束しているのです。

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