『 臨終時最大の慰め 』9/23

Shin1

◆「人生は空の旅に似ている。離陸が誕生で、着陸は死だ。ターミナルケア、ホスピスの働きというのは、人生の終り、着陸の時を、できるかぎりおだやかなものとする助けをすることなのです」(柏木哲夫医師)。たしかに飛行機に乗って一番不安であり緊張するのは、とくに着陸の時で、私などはこのときには祈らずにはいられない。

◆さて、こうしてみると驚くべきことは、医者イエスはホスピスにおいても第一人者であったという事実だ。ルカが記しているイエスの十字架のとき、二人の犯罪人がたまたまイエスといっしょに処刑されることになった。ところが、十字架につけられたイエスの口から出た最初のことばはこうだった。「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです」(ルカ23:34)。この祈りを聞いて驚いたのが、犯罪人のひとりだった。"これはただならぬ人だ"

◆イエスの隣りで十字架につけられていたもう一人は、相変わらず悪態をついていたが、イエスの祈りに心打たれた方の男はイエスに呼びかけた「あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください」。すると、イエスは答えて言った。「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」(23:43)。臨終の人を支える最高のホスピスのことばと言えないか。

◆召天者おひとりおひとり、臨終時にイエスさまから最高のターミナルケア、ホスピスを受けて、永遠の御国へ凱旋されたことだろう。 

◆外国へ旅立つ家族を空港で見送るとしよう。その家族は飛行機に乗り込み、その飛行機はやがて飛び立って、上空高く、あるいは雲の中に、青空の奥に、消えて行きます。何時間かあとに旅立った人ははるかかなたの外国へ着き、むこうでの生活が始まります。遠く離れていても心は結ばれていて、再会の日を待ち望みます。そのように、天へ旅立った人を送り、やがて再会の希望を確信できるような、「永遠」を心にはっきりといただいた生き方をしたいものです。

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