『巻頭言 鈴木牧人(福島郡山コスモス通り教会 牧師)』11/18

Shin1

いつも東北の被災地を覚えて、祈り、支えてくださり、本当にありがとうございます。
 私の中で、忘れられない光景があります。昨年の震災後、ようやくガソリンが手に入り、高速道路が開通になった頃、東北の被災地に立てられた教会・伝道所を訪問させていただいたことがありました。その時、痛感したことは、今回の震災によって被害が及んだ場所は、余りにも範囲が大きく、地域によって、向き合わされている課題が全く違うということでした。そのような現状を目の当たりにした時、今後の復興、支援の在り方が、どこかの地域だけが孤立したり、その地域の課題だけが置き去りにされてしまうような形にならないようにと強く思わされました。被災地の状況は、未だ先の見えないような状況が続いています。津波被災地も未だ復興作業が進んでいませんが、福島では今も原発事故の問題に翻弄されながら日々を過ごしています。そのような中で、被災地の方々の課題や痛みが置き去りにされてしまうことがないようにと祈らされています。

 そのように、東北の被災地では今も様々な課題の中に置かれていますが、これまで被災地を覚えて、多くの方が祈り、支えてくださいました。私たちの教会のことも、多くの方が覚えて祈ってくださり、支えてくださいました。改めて、主にある兄弟姉妹の繋がりの大切さを心に刻んだ一年半でした。 同時に、この震災を経験しながら、これまで以上に御言葉の大切さというものを感じています。ある方がこんなふうにおっしゃっていました。「このような震災にあって、かつてのように聖書を読めなくなった」。 しかし、別の方がある時、こんなふうにおっしゃっていました。     
「このような震災の状況で今まで以上に聖書の御言葉が迫ってくる」。私には、この両方の思いがよく分かります。本当に、震災の切実な状況を通らされながら、信仰のこと、聖書のこと、分からなくなりそうなことがたくさんあります。しかし、一方で、これまで以上に御言葉が迫ってくること...。御言葉が今の私たちに語りかけられていると感じること...。そんなことがたくさんあります。そんな中、振り返ってみて思うのは、御言葉なしにはとても今日まで歩むことができなかっただろうということです。
本日も皆様と、しばらくの時、聖書の御言葉から聞いていきたいと思います。ぜひ御言葉を通して、私たちが強められ、励まされ、私たちの歩みが整えられていくような時を通らされたら素晴らしいと思います。

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