〜オリーブの香り〜 No36 『もう一つクリスマスの思い出』

ゆっこ

・私の友人夫婦は結婚して12年目に女の子(Iちゃん)が与えられました。
 Iちゃんは生まれた時から身体に障害を持っていました。
 でもIちゃんは両親の愛情をいっぱい受けて、ステキな女の子になりました。

・Iちゃんが小学1年生の時、学校で泥だんごを作って、高い所や2階から落として、
 割れなかった泥だんごの持ち主が勝ちという遊びがはやっていました。
 毎日、Iちゃんはあそこの土が割れにくいと聞けばそこに行って、
 土と水をこねて泥だんごを作っていたそうです。

・クリスマスが近づいたある日、両親はサンタクロースからのプレゼントを
 楽しみにしているIちゃんに聞きました。
 「Iちゃん、今年はサンタさんに何をお願いしたの?教えて?」
 「いいの!お祈りしてサンタさんにお願いしたから、お父さんお母さんには内緒!」
 困ったのは両親です。
 サンタさんが来ると信じているIちゃんから、願った物が何か探り出さないと
 大変です。

・とうとう23日の夜になり、両親はIちゃんに提案しました。
 「Iちゃん サンタさんはとても大変だから、わかるように ◯ ◯をお願いした
  Iの家はここです」と門に貼り紙したらいいよ」
 Iちゃんは考えてから、両親の言う通りにして寝たそうです。

・Iちゃんが寝込んだのをみて、貼り紙を見ました。
 そこには「サンタクロースさん割れないおだんご3コください」と書かれて
 ありました。
 両親はしばらく考え、考え、行動に移しました。
 近くの別荘の土が粘土質だったことを思い出し、車を走らせ、土を取ってきて、
 二人でお団子を作り、オーブンに入れて焼いて、硬い、硬い泥だんごを
 完成させました。
 Iちゃんの枕元に、3コ転がして置いたそうです。
 もう朝になりかけていたそうです。

・朝Iちゃんは両手に3コの泥だんごを持って、二人のところに飛んで来て
 言ったそうです。
  「お父さん!お母さん!やっぱりサンタクロースはいるよ!!」
 これがI ちゃんの生きていた最後のクリスマスでした。

・私は子どものため、夜中に真剣に泥だんごを作ったこの夫婦が好きです。

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