『 御国内定 』 8/29

Shin1

「主が与え、主が取られたのだ。主のみ名はほむべきかな」ヨブ記1章21節

◆ヨブ記の箇所を読み進めていくと、その剥奪は理不尽なまでも激しく、信仰を試されるには悲痛を覚えて理解し難いものがある。

◆祖父母は日本統治下の台湾で終戦まで暮らしていた。
広大な土地で農園と植物園を営み、大きな屋敷には幾人もの使用人を抱え、何不自由なく母も豊かに生まれ育ったという。1945年の夏を境に一転する。

◆神奈川の浦賀に船で引き上げた時には、下着3枚、洋服3着、靴はなく、一家で1万円を所持金として渡され、栃木へ移住して農業を始めた頃に、生まれたばかりの子どもと共に祖母は亡くなってしまう。しばらくして祖父は農薬の影響で皮膚病を患い、その後、眼球を1つ摘出する身体になってしまった。幼い頃、夏休みに祖父の田舎に行けば、「おじいちゃんが貧乏で病気になった物語」を聞くのが私のお気に入りでした。大人になって聖書に出会い、先のヨブ記を通読すれば、祖父のヒストリーを思い出す。

◆ヨブは神によって義とされ、最難関である御国内定を受けた人物。この狭き門への内定決定はクリスチャンにとって麗しい輝きあること。祖父が亡くなるまで私に言い伝えてきたことに、「人に盗まれる財をたくさん持たず、誰にも何者にも奪われないものを持ちなさい」信仰こそ、そのようなものであると私は思う。この信仰が幾度も試されようと、御国内定へ向かっていきたいと思います。

守屋まゆ美

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