「わたしの魂よ、主をたたえよ。主の御計らいを何ひとつ忘れてはならない。主はお前の罪をことごとく赦し、病をすべて癒し、命を墓から贖い出してくださる。慈しみと憐れみの冠を授け、長らえる限り良いものに満ち足らせ、鷲のような若さを新たにしてくださる。」(詩編103編2~5節)

◆「主の御計らいを何ひとつ忘れてはならない」は、単に過去を懐かしむ詩ではありません。主の御計らいを何一つ忘れず、今を生き、将来を生きるための詩です。しかし、私たちの心はすぐに失ったものを数えようとしたり、不安なことや心配なことばかりを数えようとしてしまいます。あるいは、今の楽しみだけに心が引き寄せられたりもしてしまいます。しかし、詩篇103編は「主の御計らいを何一つ忘れるな」と命じています。

◆主の御計らいとは、「主はお前の罪をことごとく赦し」(3節)とあるように、主が私たちの罪を赦してくださったことです。このことを詩編103編の著者は、4つの角度から伝えています。
 ①罪を悔い改め低くされた者に注がれる主の高き愛(11節)
 ②罪を悔い改めた者の罪を忘れてくださる主の広き愛(12節)
 ③私たち罪人に走り寄る父の愛(13節)
 ④永遠に変わることのないとこしえの愛(17節)

◆私たちはこれらの愛を、御計らいを、恵みを、何ひとつ忘れてはならないのです。そして、神様は、私たちが礼拝や祈り会や教会で行われるあらゆる行事を通して、聖書の御言葉を共に分ち合うことを、何よりもまず求めておられるのです。

◆今日から始まる2016年度、私たち一人一人が4つの愛に囲まれている恵みに感謝しつつ、主のために、そして、教会のために、互いに仕え合っていきましょう!

松﨑 準

今週の一面『 Happy Easter !!!』 3/27  

Shin1

イースターおめでとうございます!
 キリストの復活を感謝をもって共に喜びましょう!

◆今日は、全世界でイースター(キリストの復活)が祝われています。
「イースター」は、日本ではほとんどなじみがありませんが、世界では約3人に1人(世界の人口の30%がキリスト教徒)がこのイースターを喜びの出来事として祝い、大切にしているのです。

◆キリスト教会にとって、イースターはクリスマスと並んで、あるいは、それ以上に重要な意味があります。「キリスト教の信仰とは、復活信仰だ」と言っても過言ではありません。イエス様の誕生が記されていない福音書はあっても、イエス様の復活が記されていない福音書はありません。つまり、復活したイエス様について書き記すのが聖書における4つの福音書の本来の意図であったのです。故に、イエスの復活はまぎれもない事実です。そして、イエスの復活が教会の基礎となり、信仰の根拠となったのです。

◆ではなぜ、そんなに重要なイースターが日本ではなじみが無いのでしょうか。その理由として考えられるのは、①「復活」とか「死人のよみがえり」という事柄が、あまりにも非現実的であること。②イースターは、クリスマスのように日付が固定されていないということ。クリスマスと違いその年によって日付に最大1ヵ月ほどズレが生じます(春分の日の後の最初の満月から数えて最初の日曜日と定められている)。

◆聖書に、このようなイエス様の言葉があります。
「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。」(ヨハネ11:25~26)。
 すべての人間は、地上の生命が終わり、必ず「死」を迎えます。しかし、イエス・キリストの復活によって、「死」が一切の終わりではなく「死」の向こうに確かな希望が与えられたのです。キリストの復活こそ、「罪」と「死」からの解放であり、全人類に与えられた勝利なのです。キリストを「救い主」と信じるなら、私たちもキリストのように、永遠に新しい命に生きることができるのです。                    

松﨑 準

「父よ、わたしが飲まないかぎりこの杯が過ぎ去らないのでしたら、あなたの御心が行われますように」(マタイ26:42)

◆この祈りは、自分の思い通りになることよりも神の御心が行われることを最優先にする、凄まじい苦しみの中でなされたイエス様の祈りです。
「できることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。」とイエス様は苦しみ悲しみもだえながら、自らの弱さを神の前にさらけ出しつつ、弟子たちに見捨てられ、孤独になってもなお祈り続けました。最後にイエス様は「しかし、わたしの願いどおりではなく、御心のままに」と言って、自分自身との戦いに勝利し、徹底的に神の意志に従うことを決断しました。

◆父なる神に励まされ、誘惑を克服し、徹底的に神の御心に従うことを決意したイエス様は再び、弟子たちのところに行きます。そして「立て、行こう。見よ、わたしを裏切る者が来た。」と言って、あらゆる苦難が自分の身に起こることを受け入れ、飲みたくない杯を飲むという歩みに進んで行かれます。

◆この姿勢は弟子たちを伴って敵に向かって攻め込む姿勢ではなく、あらゆる苦難と重荷をすべて受け入れようとする姿勢であり、戦いの姿勢とは正反対です。自ら苦難と、痛みと、裏切りと、孤独を受けるために進んでいくこの歩みは「敵を愛しなさい」という歩みであり、「剣をさやに納めなさい」という歩みであり、「誰かが右の頬を打つなら、左の頬をも向ける」歩みです。これらは正に、平和の神の姿です。

松﨑 準

今週の一面 3/13  

Shin1

 3.11東日本大震災から5年が経ちました。その爪痕はあまりにも大きく、これから先もその影響は、ずっと消えることはないでしょう。鳥栖教会の野中宏樹牧師は、『世の光』(2016年3月号)の中で、『原子力とは何か ~100年後の子どもたちへの手紙~』と題して、3ページに渡ってコラムを書いています。機会がありましたらぜひ読んでいただきたいのですが、その中で野中先生が「人間の作り出した放射能と命とは決して共存できない」という叫びの中で、作詞・作曲した『100年後の子どもたちに』という歌がありますのでご紹介します。       

松﨑 準

*************************************************************
100年後の子どもたちに(作詞・作曲 野中宏樹)

  1.100年後の子どもたちに 僕らは、今、何ができる
    100年後の子どもたちに 聞かれてどう答えよう
    山や、海や、河や、空気や、大地を、こんなに汚してまで
    ほんとにみんなは心豊かな、くらしを手にいれたのかい
    100年後の子どもたちに 僕らは、胸をはれるだろうか
    100年後の子どもたちに どんな世界を手渡せるだろうか

  2.100年後の子どもたちの すがたが見えますか、あなたに
    100年後の子どもたちは すてきな世界に暮らしてるだろうか
    ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・JCO そしてフクシマと
    僕らは何度同じ痛みをくりかえして、道標をみつけるのだろうか
    100年後の子どもたちに 僕らは、胸をはれるだろうか
    100年後の子どもたちに どんな世界を手渡せるだろうか

    父ちゃん、母ちゃん、爺ちゃん、婆ちゃん、
    あの時いったい 何をしていたの?
    父ちゃん、母ちゃん、爺ちゃん、婆ちゃん
    あの時いったい 何を言ってたの?

    100年後の子どもたちに 僕らは、胸をはれるだろうか
    100年後の子どもたちに どんな世界を手渡せるだろうか
    100年後の子どもたちを 僕は心から愛したい
    100年後の子どもたちを 愛するために今、立ち上がろう

*************************************************************

今週の一面『 小さな親切 』 3/6  

Shin1

◆「互いに親切にし、憐れみの心で接し、神がキリストによってあなたがたを赦してくださったように、赦し合いなさい。」(エフェソ4:32)

◆「19世紀後半の話、イギリスの国会議員の馬車が泥沼に入ってしまって動けなくなった。国会議員は自分で何とか引っ張ろうとしたが駄目だった。ところが彼が困り果てたところへ一人の農家の少年がやって来て、泥沼から馬車を引っ張り上げることに成功した。驚いた国会議員は、その少年に『お金は、どれくらい払ったら良いのかね』と言った。少年は答えた。『僕は、何も要りません。あなたのような偉大な方をお助けできて光栄です。』すっかり感心してしまった国会議員はまた尋ねた。『大きくなったら、何になりたいのか。』少年は、医者になりたいけれども家庭が貧しいから無理だろうと答えた。すると国会議員は言った。『あなたの学費を全部、出そう。』こうして、少年は学校に行き、医者になった。その50年後のこと。イギリスのウインストン・チャーチル首相が肺炎で死にかけていた。第二次世界大戦の真っ最中で、イギリスはドイツの空襲を受けピンチに立たされていた。最後の手段として、医者たちは新しく開発されたばかりのペニシリンという薬をチャーチルに投与した。するとチャーチル首相は一日で元気になり、イギリスを勝利に導くことが出来た。そのペニシリンを発明した医者は、50年前に国会議員の馬車を泥沼から引き上げた、アレクサンダー・フレミングという少年だった。しかも馬車を引き上げてもらった国会議員は、ランダル・チャーチル(ウインストン・チャーチルの父親)だったのだ。こうして、少年の小さな善行(親切)が自分の人生を変え、チャーチルの少年に対する善行(親切)が自分の子供の命を救い、また国を破滅から救うことにつながった。」(W・ウッド、『100のミニ・メッセージ』、イーグレープ、2009年。)

◆数年前、アメリカでは「小さな親切運動」が注目されたそうです。一人々々が毎日、隣人に対する親切を心掛けていくなら、世の中が変わるということですが、これは聖書の教えとも一致した考え方です。今日の世界の状況を見ると不安だらけです。安心して海外旅行にも行けない...。また、日本でも日々様々な残酷な事件が起こっています。世の中を変えようという大きなビジョンを掲げなくても、自分の家庭、学校、職場で「小さな親切」を実践すれば、周りの人たちも、また自分自身もホッとして元気が出ます。そして、いつしか「親切」と「親切」が繋がる奇跡が起こるかも知れません。

松﨑 準

◆前回の巻頭言(1/24)で、"教会という集まりは、さまざまな人が集まっている多様性を持ったもの(雑然としている)。つまり一人ひとり違っていなければいけない"との藤木正三牧師の一文を紹介した。さらに藤木牧師は、「教会とは何かをするため(doing)組織ではなく、「お互いがいたわり合っていく集まり(being)である」と語っている。

◆同じ内容を「神の家族」という形で、フィリップ・ヤンシーは『教会〜なぜそれほどまでに大切なのか』(いのちのことば社)で述べている。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「人間の組織では、人は職務を遂行することで地位を獲得する。...昇進という報酬を見せられれば、人は猛烈にやる気を起こすものだ。しかし家族においては全く異なる。人は家族の中でどのようにして地位を得るのだろうか。子どもは、ただ生まれてきたということだけで家族の権利を『獲得』する。知能に障害があるからといって、家族から追い出されたりはしない。それどころか『生産性』のほとんどない病弱な子どもが、実際、健康な兄弟姉妹よりも多く目をかけてもらえる。...『無関心、ライバル意識、そして嫌悪感と共存しながら、好き嫌いを超えた領域で、愛がいかに存在するのかを、家族は私たちに教えてくれる』」
------------------------------------------------------------------------------------------------------------

◆人はその存在によって家族の一員たる地位を確実にするのであって(being)、決してその働き、能力、機能(being)によってではない。まさに教会の姿は「神の家族」そのものである。   

石田政美

◆受難節(レント)は四旬節とも言われ、イースター(復活祭)前の6回の日曜日(主日)を除いた40日間を言います。受難節の始まる水曜日を灰の水曜日と言います。今年は、2月10日(灰の水曜日)~3月26日(土)がその40日にあたります。この40日間の設定は、イエス・キリストが体験された荒野の試練(マルコ1:12~13節)の40日間の断食に由来しています。
「40」という数字は旧約聖書の中でも特別な意味を持つ数字です。
・モーセは民を率いて40年間荒野をさまよいました。また、イスラエルの民と神との契約を結んだ後、シナイ山に登り、40日40夜過ごした。(出エジプト24:18)。
・ヨナはニネベの人々に40日以内に改心しなければ街が滅びると預言しました(ヨナ3:4)。
・預言者エリヤは40日40夜歩き続け、ついに神の山ホレブに着いた(列王記上19章8節)。

◆受難節の40日間はそのような伝統に従い、クリスチャンにとってはイエスの十字架上の死をしのび、復活の喜びを祝うまでの準備の時として、4世紀のはじめ頃から、この40日間が守られるようになりました。現在多くのプロテスタント教会では、神に対しての祈り、自分自身に対しての節制(断食や祝宴の自粛)、他人に対する慈善の3つが受難節の精神であるとして教えられています。

◆私たちもこの受難節の時、聖書に記されているイエス様の十字架への受難の道を辿りつつ、感謝と悔い改めの祈りを奉げつつ、共に過ごしましょう。

松﨑 準

今週の一面『 断腸の思い 』 2/14  

Shin1

◆聖書には「憐れみ」という言葉がよく出てきます。特に福音書に多く見られます。例えば、
・「イエスは...群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひし
  がれているのを見て、深く憐れまれた。」(マタイ9:36)
・「重い皮膚病を患っている人が、イエスのところに来てひざまずいて
  願い...イエスが深く憐れんで、手を差し伸べてその人に触れ...」
  (マルコ1:40,41)
・「主はこの母親を見て、哀れに思い、『もう泣かなくともよい』と
  言われた。」(ルカ7:13)等。

◆多くの聖書で「憐れみ」と訳されているこの言葉(スプランクニゾマイ)は、ギリシア語原典を最も忠実に訳している岩波訳では「断腸の思い」と訳されています。「断腸の思い」とは、「腸(わた)が千切れるほどの深い悲しみ」という意味です。それは、昔の中国のあるお話に由来します。
・「晋(しん)の武将桓温(かんおん)が船で三峡(長江の三つの渓谷)を渡ったとき、従者が猿の子を捕らえて船に乗せた。母猿が連れ去られた子猿の後を追って、悲しい泣き声をたてながら、どこまでもどこまでも必死についてきた。そして、ついにその船に跳び移ることができたが、そこで息絶えてしまった。その腹を割いてみると、腸(わた)がズタズタに千切れていたそうです。」

◆「憐れみ」という言葉の中には、これほどまでに深く辛い悲しい思いが込められている。それは、ただ「かわいそう」という思いを遥かに超えています。そしてそれは、私たち一人一人に対する主の思いが、主の愛が、いかに深く、大きいものなのかと気づかされます。今日も主は、この混沌とした世界を断腸の思いで見ておられます。

◆主よ、私たちを、その主の思いに応え、主の愛に生きる者とならせてください。

松﨑 準

◆親元を離れてから13年、思い出の風景はいつも家族で囲む食卓。反抗期まっただ中でも、大きな家族喧嘩があっても、できるだけ毎朝毎晩、家族揃って食卓を囲んでいたことを温かく思い出します。

◆礼拝は神様から招かれた食卓に例えられます。私が家族4人で囲んでいた小さな食卓では無く、何家族も集い共に食事を分かち合う大きな食卓。それはまるで年末年始に親戚一同が集まる食卓のようです。そこでしか会わない人がいて、普段は食べないものを食べながら何となく皆がお祝いのような気分で幸せ、そんな食卓。

◆もちろん、楽しいだけの食卓ではないかもしれません。台所に立つ人々は大勢の食事の準備にうんざりし、青年達は昔話の連続にイライラしているかもしれません。子どもたちは早く飛び出して遊びたい気持ちでそわそわし、高齢のおばあちゃんは眠くなっている、そんな食卓かもしれません。全員が何かしらの居心地の悪さを感じつつ、それでもなお、共に食卓を嬉しく囲んでいる。

◆私の礼拝のイメージはそんな食卓です。神様から招かれた食卓につき、何の準備もできない人も、台所で一生懸命準備をしている人も、みな等しく共に神様からの嬉しい恵みを分かち合うことを促されています。少しの居心地の悪さを越えて、神様から招かれて食卓につく豊かな恵みを共に味わえることを喜びましょう。

◆今週も教会という私たちの家の、「礼拝」という神様から招かれた食卓に帰ってきました。ご一緒にその食卓を囲む喜びから一週間を歩んでいきたいと願っています。       

武林 慧

◆「教会という共同体(教会の姿)とは、いったいどういうものなのだろうか。」60年間の信仰生活でずっと探求し続けてきた問いである。◆そんな私の注目を引いたのは、"教会というところは雑然としていなければならない。いやむしろ、雑然としたままであることを必死で守ることを心がけるべき"と言い切っている藤木正三牧師の断想

------------------------------------------------------------------------------
教会の目的
 一定の能力、財力、そして共通した価値観、そのような人々を集めれば、団体としてはしまりが良いわけで、団体としては構成する時に配慮をするのは当然でしょう。しかしそのような配慮を必要としない、従って雑然としたままでよい、というよりは雑然としたままでなければならないような団体があります。教会がそれです。教会とは雑然とした者が互いにいたわり合って調和してゆく、そのこと自体を目的とする団体なのです。教会にあっては、調和は何かをするための条件ではなく目的であることを忘れないようにしましょう。                (『神の風景』より)
------------------------------------------------------------------------------
「教会の目的」という一文である。

◆まず教会という集まりは、さまざまな人が集まっている多様性を持ったもの。つまり、一人ひとり違っていなければいけないと言う。しかし、私たちは、ついつい同じタイプ、同一であることを人々の集まりに求めやすい。そして、この傾向は、いつしか、同志的徒党を組みやすい。つまり、工藤信夫先生が言われる"排除の構造"(信仰による人間疎外)であり、違いを認めず同質を求める傾向は実は、その組織の死を招くことになるのではないか。    

石田政美

23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33

過去の記事